🪶 染井真虹さん(30代男性)/投稿体験より

葬儀の仕事と聞くと、「厳かな空間で静かに式を進める仕事」というイメージを持つ方も多いかもしれません。
けれど実際には、ご遺族が故人ときちんと向き合い、納得のいく別れができるよう、裏側から支える繊細で体力のいる仕事でもあります。
今回は、葬儀スタッフとして現場に入った一日の流れを通して、その仕事の実際と、そこで感じたことをお伝えします。
葬儀の仕事とは?現場で求められること
その日は大雪でした。出勤時から薄手の上着にスーツ着用で、荷物も最小限。現場では常に動き続けるため、身軽さと即応性が求められます。さらに冬でもインナーは原則として白の半袖シャツで、環境的にも決して楽ではありませんでした。
葬儀の仕事は、表から見る以上に「見えない準備」が多い仕事です。
ご遺族の前では落ち着いた所作が求められますが、その裏では、限られた時間の中で段取りよく動き、必要なものを不足なく整えなければなりません。
静かな現場である一方で、実際には細やかな気配りと体力の両方が必要になる仕事だと感じました。
葬儀スタッフとして実際にやったこと
霊安室での確認とドライアイス交換
朝は霊安室でご遺体の状態を確認し、必要に応じて10kgのドライアイスを交換するところから始まりました。
厳かな現場であると同時に、こうした実務を一つひとつ正確に進めていくことが求められます。
想像していた以上に、朝から気を張る場面の多い仕事でした。
仏具の準備と棺の組み立て
その後は、ご遺族との対面に向けた仏具の準備や、棺の組み立て作業を行いました。
式の場では完成された状態しか見えませんが、その前段階では多くの準備が積み重ねられています。
どれも派手な作業ではありませんが、抜けや不足があってはいけないため、落ち着いて進める必要がありました。
出棺対応と搬送作業
昼には自宅出棺の対応があり、階段を使って3階から慎重に搬送する場面もありました。
こうした場面では、礼節だけでなく、周囲への配慮や安全面への意識、そして体力も必要になります。
静かな仕事という印象とは異なり、実際にはしっかりとした身体的負担のある仕事でもありました。
納棺補助と対面準備
その後は納棺作業として、白布でご遺体を整える作業にも関わりました。
私は、こうした作業は専門の納棺師だけが行うものだと思っていましたが、現場スタッフが担当することもあるそうです。
さらに夕方の対面準備まで進めて、その日の仕事は終わりました。
一日を通して感じたのは、葬儀の現場は「静かに見えて、常に気を張っている場所」だということです。
仕事をして感じた良かった点と大変だった点
良かったのは、普段なんとなく周りに合わせる程度だった作法や流れを、現場の中で実感をもって学べたことです。
言葉づかいや立ち居振る舞い、場にふさわしい空気感など、日常ではなかなか意識しないことを身につける機会になりました。
一方で大変だったのは、納棺作業のように、ご遺体に直接触れる場面があることです。
心理的な抵抗がある人にとっては、かなりハードルの高い仕事だと感じました。
また、力仕事も多く、体力面でも決して楽ではありません。
加えて、常に「見られているかもしれない」という緊張感があり、気を抜ける時間は少なかったです。ご遺族の前に出る場面では、一つひとつの所作がそのまま印象につながるため、自然と背筋が伸びるような仕事でもありました。
これから応募する人へ伝えたいこと
この仕事で大切なのは、気配りと緊張感、そして学ぶ姿勢だと思います。
特にご遺族の前では、一つひとつの所作がそのまま印象につながるため、「見られている前提」で動く意識は欠かせません。
また、分からないことがあれば、ご遺族のいない場で遠慮せず確認し、自分の中に落とし込んでいくことも重要です。
その場にふさわしい振る舞いを少しずつ身につけていくことが、結果として現場全体の安心感にもつながるのだと思います。
そして私が感じたのは、「いい式」とは豪華さではなく、ご遺族がしっかりと別れを済ませられることだということです。
その一端を担えたとき、この仕事で得られるものは想像以上に大きいと感じました。

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