🪶 HIROさん(61歳・男性)/定年後の隙間ワーク体験
定年後に訪れた、自由と同時に感じた空白
定年を迎え、長年勤めた会社を離れた時、最初は大きな開放感がありました。
時間に縛られず、毎日を自由に使える――そんな生活に、しばらくは満足していたのです。
しかし、その自由は長くは続きませんでした。
次第に時間を持て余すようになり、社会とのつながりが薄れていく寂しさを感じ始めたのです。
年金だけでは心許ないという現実的な問題もありましたが、それ以上に堪えたのは、「誰かの役に立っている」という感覚を失ったことでした。
スマートフォンで見つけた「隙間バイト」という選択
そんな時、何気なくスマートフォンを見ていて知ったのが「隙間バイト」という働き方でした。
私が選んだのは、物流倉庫での軽作業や、イベント会場の案内係など、体力的に無理のない単発の仕事です。
現役時代は管理職としてデスクワークが中心でしたから、体を動かす仕事は正直なところ新鮮でした。
「果たして自分にできるだろうか」という不安はありましたが、まずは一度やってみようと応募しました。
倉庫作業がくれた、静かな集中の時間
物流倉庫での仕分け作業は、最初こそ戸惑いましたが、慣れてくると黙々と作業に集中できます。
この「何も考えず、目の前の作業に向き合う時間」が、思いのほか心地よいものでした。
頭の中が整理され、余計な考えが消えていく。
これは、現役時代の忙しさの中では、なかなか得られなかった感覚です。
単発ワークで得られた、二つの大きな収穫
この単発ワークで得られたものは、大きく分けて二つあります。
一つは 健康維持、もう一つは 世代間交流 です。
まず健康面ですが、家で過ごしていると、どうしても体はなまってしまいます。
バイトに出れば、朝早く起き、現場まで歩き、作業中も自然と体を動かします。
無理のない範囲で体を使うこの習慣が、私にとって最高の健康法になりました。
若い世代との交流が、心を若返らせてくれた
そして何より刺激的だったのが、若い世代との交流です。
現場には、大学生やフリーター、夢を追う若者たちが多くいます。
あるイベント会場の設営では、私より一回り以上若いリーダーが、テキパキと指示を出していました。
その姿に感心すると同時に、新しい発想やITツールを使いこなす様子から、学ぶこともたくさんありました。
「お父さん、無理しないでくださいね」と気遣われ、
「若いのにしっかりしているな」とこちらが感心する。
そんな何気ないやり取りが、私の心を少し若返らせてくれた気がします。
定年後も、社会の一員でいられるという実感
単発ワークは、長年の経験やスキルがそのまま活かせる仕事ばかりではありません。
むしろ、一から新しいことを覚える謙虚さが求められます。
しかし、そのおかげで私は、定年後も社会の一員としての役割を見つけることができました。
これは単なる小遣い稼ぎではありません。
社会との接点を持ち続け、心身の健康を保ち、
そして「まだ自分にもできることがある」という自信を取り戻すための、大切な時間です。
定年後の生活に物足りなさを感じている同世代の方には、
ぜひ一度、この新しい働き方に挑戦してみてほしいと思います。


コメント