1.工場に入るまで
今回のあんこ工場は、駐車場と工場が離れていました。
徒歩で約7分。
少し緊張しながら指定の事務所へ向かいます。
最初に案内されたのはiPad。
約10分間、衛生管理や作業上の注意点についてのショート動画を10項目ほど視聴します。
・手洗いの徹底
・異物混入防止
・私物の持ち込み禁止
・体調不良時の申告
視聴後、同意書にサイン。
その後、更衣室で作業服に着替えます。
長靴に履き替え、手を洗浄し、全身をコロコロでほこり除去。
エアーシャワー室を抜けて、ようやく作業エリアへ。
食品工場は、入るまでがすでに“仕事”です。
2.10キロのあんこ
工場内はいくつかのエリアに分かれており、
私は「缶詰」と「梱包」を担当するよう言われました。
持ち場が休憩中だったため、まずは別工程へ。
10キロほどあるあんこの袋を台車から下ろし、
異物がないか確認し、水気を拭き取って箱へ積み込む作業です。
「軽作業」と思っていましたが、
腕と腰にしっかり重みがかかります。
3.缶詰ライン作業
やがて持ち場に呼ばれ、再びiPadで流れを確認。
私の担当は、
約100個(12列×8個)の缶詰を載せた台車を、
ボタン操作でラインへ流し込む作業でした。
ボタンを押すと台車部分が上昇。
ラインの高さまで上げ、腕の力で一気に流し込みます。
しかし、
-
一度では流せない
-
シートを橋渡しして滑らせる
-
ボタン操作を間違えないようにする
思った以上に力がいります。
最初はスムーズにできず、
ボタン操作のミスもありました。
4.“音の世界”で働く
機械は絶えず音を立てて動いています。
ここでは、ほとんど会話がありません。
指示は、
・手で払われる
・手招きされる
・指で方向を示される
言葉よりも動き。
ボタンを押し忘れると、
軽く合図で伝えられる。
10分ほどの休憩になってようやく
「○○してくださいね」と言葉を聞きます。
愛想笑いも不要。
ただ、決められたことを淡々とこなす。
それが楽な人には向いている現場だと思いました。
ただ、この工場では外国籍と思われる方々も多く勤務されていました。
発音や言い回しから、中国圏の方かもしれないと感じましたが、正確なことはわかりません。
機械音が大きく、言葉での説明が少ない現場でしたが、作業の流れを身振りや手の動きで丁寧に教えてくれたのは、その方々でした。
言葉が十分に通じなくても、「こうやるんだよ」と体で伝えてくれる。
むしろ、日本人の作業者よりも一生懸命に教えてくれた印象があります。
淡々とした空気の中で、その小さな親切が少し救いでした。
5.体よりも、心が疲れる
勤務時間は12時半から18時まで。
体が限界になるほどの疲労はありませんでした。
慣れれば、同じ作業を繰り返すだけです。
やりやすい方法を見つければこなせる仕事です。
ただ――
身体よりも、
心理的にしんどい。
会話がほとんどなく、
音の中で自分の存在を保ち続ける感覚。
それが、私には少しきつく感じられました。
6.あんこの匂いは、ほとんどしない
「帰りに小豆が食べたくなった」といったレビューもありましたが、意外にも甘い匂いはほとんどしませんでした。
実は、私の実家は和菓子を製造していて、今回の応募は、
「あんこ」に懐かしさを感じたからなのです。
けれど、
ここは思い出の場所ではなく、
効率と正確さが優先される製造現場でした。
7.また働くか、と聞かれたら
慣れればできる仕事です。
でも、もう一度行くかと聞かれたら、
たぶん行かないと思います。
ここしばらく隙間バイトをしていて感じるのは、
仕事には確かに「相性」がある、ということ。
現場の人、
空気、
雰囲気。
懐かしさと働きやすさは、
必ずしも同じではありませんでした。
隙間バイトは、
「できる仕事」を探すものではなく、
「合う仕事」を探す旅なのかもしれません。


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