🪶 管理者 はなこ
以前、一度仕事をしたことのある道の駅で、今回は五平餅づくりのお手伝いをしてきました。
前回は食堂のお手伝いでしたが、今回はその食堂とは別の、少し奥にある建物での仕事です。
そこでは五平餅を作り、販売しています。
五平餅を作る仕事はもちろん初めて。
どんな作業をするのだろうと、少し緊張しながら向かいました。
朝一番の仕事は、五平餅の串を拭くこと
朝はまだスタッフの方も全員そろっておらず、ご飯も炊き上がっていません。
そこで最初に教えていただいたのが、五平餅に使う板状の串を拭く作業でした。
木材屋さんから届いた串は、何本かずつ束ねられた状態になっています。
それを一本ずつ取り出し、固く絞った布巾で拭いていきます。
乾いたままの木ではご飯がつきにくいため、少し湿らせる意味があること。
そして、木の側面に残った細かなささくれなどを取り除くためでもあるそうです。
「今日はたくさん出るので、どんどんためていってください」
と言われ、ほかの作業の合間にも、この串拭きを進めていきました。
普段何気なく手にしている五平餅ですが、こうした準備から始まっているのだと知りました。
メインは、ご飯を量って丸める作業
うるち米が炊き上がると、いよいよ五平餅づくりが始まります。
私が主に担当したのは、炊き上がったご飯を規定量ずつ量り、丸めていく作業でした。
規定量ぴったりに量るのは、思っていた以上に難しいものです。
ただし、3グラム程度の前後は大丈夫とのこと。
最初は慎重に量っていましたが、続けていくうちに少しずつ感覚がつかめるようになりました。
スーパーでご飯やお惣菜を量ったり、お肉屋さんでお肉を量ったりした経験が、思わぬところで役に立ったのかもしれません。
私が丸めたご飯を、ほかのスタッフさんが次々と受け取って成形していきます。
後ろの作業を止めてしまわないように、なるべく一定のペースで量って丸める。
結果的には、最後までほかの方の手を止めることなく作業を続けることができました。
初めての仕事だっただけに、これは少し嬉しかったです。
五平餅は専用の型を使って作っていました
帰る少し前には、私も五平餅の成形作業を教えていただきました。
五平餅には、ちゃんと専用の型があります。
まず、丸めたご飯の半分ほどを型の中に入れて伸ばします。
その上に板状の串を置き、さらに残り半分のご飯を重ねて伸ばしていきます。
そして透明なシートを上からかぶせ、その上から平らな道具でこするように押さえながら、型に沿って形を整えます。
型から外すと、見慣れた五平餅の形になります。
普段は完成したものしか見ることがありません。
それが実際には、こうして一つずつ手作業で作られている。
自分でも最後にその工程を体験できたことは、今回の仕事の中でも印象に残りました。
大きな窯を洗うのも仕事のひとつ
この日は、大きな窯で6回ほどご飯を炊きました。
炊き上がった窯を流しまで運び、水を張っておくのも私の仕事です。
そして次の窯に水を張るころには、先ほど水につけておいた窯を洗います。
また炊き上がれば運び、水を張る。
その間に串を拭いたり、ご飯を量ったり、丸めたり。
ひとつの作業だけを続けるのではなく、その時々で必要なことをしながら、五平餅づくり全体が進んでいきました。
「休憩なし」のはずが、みんなでお昼ご飯
募集には「休憩なし」と書かれていました。
そのため、私はそのつもりで仕事に入っていました。
ところが12時になると、簡単なお昼ご飯を用意してくださいました。
「さあ、お昼にしましょう」といわれ、私は入っていないと思っていましたが、そうではありませんでした。
日によって内容は違うようですが、この日は冷や汁とご飯、自家製のトマトジュース、それにスイカ。
この地域では、トマトとほうれん草が名産なのだそうです。
冷たい冷や汁。
自家製のトマトジュース。
そしてスイカ。
暑い日にぴったりの、なんとも夏らしいお昼ご飯でした。
もちろん食事を出していただいたことも嬉しかったのですが、それ以上に印象に残ったのは、みんなで一緒に食べたことです。
仕事の手をいったん止め、同じ場所に座り、お喋りしながらお昼をいただく。
スキマバイトでは、こういう時間はそうそうありません。
数時間だけ働きに来た私まで、いつもの仲間の中に少し混ぜてもらったようで、とても幸せな気分になりました。
「時間給以外のものを求めていく」
今回も、従業員の方々に恵まれ、終始和やかな雰囲気の中で仕事をすることができました。
そしてこの日は、仕事内容とは別に、とても印象に残った出会いがありました。
一緒に働いていた方の一人が、
「私は、時間給以外のものを求めていく」
と話してくださったのです。
この言葉に、私はかなり惹かれました。
私もスキマバイトをしていますが、
私の場合は「遊びや趣味」が先にあって、仕事はそのついで、という感じです。
知らない土地へ行ってみたい。
行ったことのない場所を見てみたい。
せっかくなら、その土地で少し働いてみたい。
そんな感覚で、住んでいる場所から少し離れた仕事へ行くこともあります。
「どこから来たんですか?」
と聞かれて住んでいる場所を答えると、
勿論、会社のかたからは
「そんなに遠くから?ありがとうございます!!」と驚いた後に恐縮されます
が、同じ隙間バイトのかたからは
と怪訝な顔をされることもあります。
ほかの仕事では、私のこうしたスキマバイトの使い方は、なかなか理解されません。
ところがその方は、
「ふうん、いいじゃん」
という感じでした。
しかも、私以上にアクティブ。
時には車中泊をしながら、仕事へ行くこともあるそうです。
この道の駅へスキマバイトで来る方の中には、そういう働き方をしている人も少なからずいるのだと教えてくれました。
だからなのか、
「いろんな人がいるよ」
と、とても自然に受け止めてくれます。
私は、この日初めて
「時給を見て仕事に行くことはないんです」と、禁断の言葉😆を口にすることができました。
その方は
「ここもいいよ」
「こんな場所もあるよ」
と、新しい場所まで教えてくださいました。
スキマバイトから、この土地に住みたくなる
その方自身も、最初はスキマバイトとしてここへ来たそうです。
ところがすっかりこの仕事や土地が気に入り、今ではスキマバイトとは別の形で働いているとのこと。
さらに、
「今、こっちに移住しようか検討中なの」
と笑っていました。
「やっぱり、楽しくなくちゃね」
そう話しながら、従業員の方に、
「いい物件があったら紹介してよ」
と声をかけています。
その様子が、まるで昔からここにいる家族のようでした。
仕事も、一人でテキパキと動き、何でもそつなくこなしていきます。
それだけでもすごいのですが、もっと印象的だったのは、その人がいるだけで周囲まで明るく、活気づくことでした。
人を巻き込みながら、自分も楽しみ、結果として職場そのものまで楽しい場所にしてしまう。
私はすっかり、この方にほれ込んでしまいました。
「こんなふうに働けたらいいな」
と思える、お手本にしたい人でした。
「華子さん」と名前で呼んでくれた人
この日は、もう一人、私と同じようにスキマバイトから入った方がいらっしゃいました。
この日の作業場では、この方だけが男性でした。
担当していたのは、大きな窯で炊き上がったご飯を、大きなしゃもじのような道具で押しつぶすように混ぜていく作業です。
五平餅は、ご飯をそのまま串につけるのではなく、ある程度つぶして粘りを出してから成形していきます。大きな窯いっぱいの炊きたてご飯を混ぜるのですから、見ている以上になかなかの力仕事でした。
この方も現在は、スキマバイトとは少し違う形で働いているそうです。やはりとてもアクティブな方で、私と同じように、
「渋滞に巻き込まれるのが嫌だから、早朝に家を出る」
と話されていました。
作業についても、とても丁寧に教えてくださいました。
最後に五平餅の成形を教えてくれたのも、この方です。
そして私の名字を聞いたあと、
「名前も教えてもらえますか」
と言われました。
名前を伝えると、
「名字だと覚えられないかもしれないから、名前で呼びますね」
と言って、
「華子さん、華子さん……」(本名は違う😅)
と何度か繰り返していました。
数時間だけ働きに来たスキマバイトなのに、名前を覚えようとしてくれる。
それだけのことなのですが、とても嬉しく感じました。
勿論、その人は他の方々も名前のほうで呼んでいました。
この方もまた、先ほどの方に負けず劣らず、人を惹きつけるものを持った方でした。
五平餅を作りに行って、働き方のお手本に出会った
今回は、初めて五平餅づくりを経験しました。
串を拭き、ご飯を量り、丸め、窯を洗い、最後には自分でも五平餅を成形する。
それだけでも、十分に珍しく面白い経験でした。
けれど、今回いちばん心に残ったものは何だったのだろうと考えると、やはりそこで出会った人たちなのだと思います。
仕事は、お金を得るためだけのものではない。
新しい土地へ行くきっかけになったり、人と出会うきっかけになったり、ときには住む場所さえ変えてしまう。
そんな働き方もある。
これまで、少し変わっていると思われることもあった私のスキマバイトの楽しみ方を、初めて説明しなくても分かってもらえたような気もしました。
「やっぱり、楽しくなくちゃね」
あの日聞いたこの言葉が、とても心に残っています。
五平餅を作りに行った一日でしたが、振り返れば、これからの働き方のお手本にしたい人たちに出会えた一日でもありました。
仕事内容も、人との出会いも、お昼にいただいた夏らしいご飯も。
全部ひっくるめて、今回はなかなか出会えない、稀有なスキマバイト体験だったと思います。
スキマバイトを続けていると、時には気持ちが折れそうになることもあります。
それでも今回は、そんな私へのご褒美のような一日でした。
思いがけない仕事を経験したり、自分とは違う生き方をしている人に出会ったり、ときには「こんなふうに働けたらいいな」と思える人に出会ったり。
こういう出会いがあるから、私はスキマバイトを続けていられるのだと思います。


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